もう知らないでは済まされない、ドメインウォームアップの重要性
近年、日本国内でもメール経由のサイバー犯罪が急増しており、企業のメールセキュリティ対策は急速に強化されています。実際、日本国内のESP(Email Service Provider)の経営者の話を伺うと、犯罪防止のため新規契約の引受けを慎重に行っているとのことです。
平成時代の感覚でそのままメール配信を始めれば、迷惑メール扱いされ到達しないという事態も珍しくありません。
今や、「送れば届く時代」は終わりを迎え、受信者はもちろん、受信ボックスやアンチスパムエンジンに信頼される送信者になるための準備が欠かせない時代に突入しています。
下記の記事では具体的に、ドメインウォームアップなしでサービスを開始した日本国内事業者の事例を紹介しております。
ドメインウォームアップが何のために、なぜ必要なのか。その重要性と手続きについて改めて確認していきたいと思います。
ドメインウォームアップって何?なんで重要なの?
ドメインウォームアップとは、新規ドメインでメール配信を開始する際に、送信数を徐々に増やしながらドメインの信頼性を高める手法です。メール配信サーバーのIPアドレスにと同様に、送信ドメインも信頼性を高めていく必要があります。
新規ドメインはメールサービス提供者から見ると「実績のない新参者」であり、いきなり大量のメールを送ると犯罪を犯す攻撃者ではないかと疑われます。そこで少ない通数から配信を開始し、時間をかけて配信ボリュームを増やし、受信側に自分が安全な送信者であると認識してもらうのです。
ドメインウォームアップを適切に行えば、
- Microsoft
- Apple
などのISP(Internet Service Provider)の受信ボックスや企業のメールサーバーに導入されているアンチスパムエンジンなどの受信システム側から信頼される送信者となり、メールの到達率を高めることができます。
一方でドメインウォームアップを怠ると、配信失敗や迷惑メールへの分類リスクが高まり、メールマーケティングの成果に支障が出かねません。では、ドメインウォームアップを成功させるための具体的なステップを段階的に見ていきましょう。
ドメインウォームアップの方法
送信用メールアドレスのウォームアップは、エンゲージメント率が高いお客さまにメール配信を行います。
一般的には当社のような専門事業者に依頼することになりますが、自社で実施することも可能ですのでその方法をご紹介いたします。
(1)メール配信をする環境を準備する
ドメインウォームアップを始める前に、まずはメール送信環境を準備します。メール配信に利用するプラットフォーム(ESP: Email Service Provider)を選定し、ドメインのメール認証を正しく設定することが重要です。
日本国内で利用されるESPには配配メール、Cuenote、blastmail、WEBCAS、ベアーメールなどがあります。STO機能を求めるのであれば、MailChimpなど海外のサービスもオススメです。いずれのサービスを利用する場合でも、送信ドメインの認証設定は不可欠です。
ただし、いきなり契約をしてすぐに100%の力でメール送信してはいけません。
(2)メールアドレスアドレスのクリーニングを行う
無効なメールアドレス、使い捨てのメールアドレスやSpamtrap(スパムトラップ)などの低品質なメールアドレスに対してメール送信を行うと、自社ドメインの評価が下がってしまいます。
メールを送り始める前に、配信先リストの質を高めてください。リストに存在しないアドレスや過去にバウンス(送達不能)となったアドレスが含まれていると、配信直後から高い不達率となりドメインの評価に悪影響を与えます。
バウンド率は3%以内を目指す必要があり、有効だけど受信BOXが一杯でエラーを起こすメールアドレスがないかチェックする必要があります。特に注意したいのがお化けのようなメールアドレス。キャッチオール(catch-all)メールアドレスです。
これはメールサーバーの設定により存在しない宛先へのメールも受信するドメインで、一見有効なアドレスに見えるため判別が困難です。こうした無効アドレスにメールを送り続けると、開封されずエンゲージメントが下がりドメイン評価が下がります。
また、キャッチオール設定がされているメールアドレスは、Spamtrapとしてブラックリストの管理事業者が埋め込んでくることが多く、リスクを取り除くためにはメールクリーニングを活用のうえ抽出するしかありません。
ドメインのウォームアップ開始前に可能な限り無効なアドレスやキャッチオールアドレスをメールクリーニングを通じてリストから抽出して管理してください。
(3)エンゲージメント率が高いユーザにメール送信をする
ドメインのウォームアップに必要な要素は
- メールを開封してもらう
- メールを通常BOXに入れてもらう
- メールを重要とマークしてもらう
というようなエンゲージメントが必要になります。
最初は10通程度の少ない通数でメール配信を始めます。
最初の配信では、社内メールや友人宛てでも構いません。反応が期待できる宛先に限定して送信してください。メールの開封率は70%を目指します。これは初期段階で受信者にメールを開封・通常BOXに入れてもらうことで送信ドメインの評価を上げていきます。
(4)毎日配信数を増やしていく
過去のエンゲージメントの実績から、メール開封をしてくれる可能性が高いお客さまを中心に、毎日少しずつ配信数を増やしていきます。1日目は10通からスタートし、1週間で100通程度。そこから月間想定配信数の20%から30%の通数まで配信します。
月間に10万通配信予定であれば、2万通から3万通程度を事前のドメインのウォームアップとしてトータルで配信してください。開封率が10%では意味がありません。高いエンゲージメント率は不可欠です。
(5)ドメインのウォームアップをモニタリングする
ドメインのウォームアップの効果を検証する方法として、メールの開封率は必ずチェックする用にしてください。開封率が10%台の場合はウォームアップの効果がないのと同じです。
また、ドメインの評価を具体的に確認する方法としてGoogleのPostmaster Toolsがあります。これはGoogleが提供する無料のFeedBack Loopです。
Googleの送信者ガイドラインに対する遵守状況や送信メールの迷惑メール報告率、ドメインの評価などがわかります。送信リストにGoogle Workspaceの利用者、Gmailの利用者が含まれていれば、フィードバックを受けることができます。
(6)迷惑メールと報告されないコンテンツ
日本のXserverやさくらインターネットなどのサーバーでは、標準フィルターとしてオープンソースのSpamAssassin(スパムアサシン)が使われています。これは、ブラックリストや各種ルールに基づきスコアリングして迷惑メールを判定します。
SpamAssasinはメールのコンテンツやメールのヘッダー情報などをチェックし、スコアリングを行っています。
コンテンツ分析
メール本文中に典型的な迷惑メールに入る語句(例:「カード情報の更新」「当選通知」「ポイント付与」などのキーワード)が含まれていないか、HTMLメールの場合は不自然な構成(画像のみで本文がない、過度な装飾、見えない文字の挿入等)がないか、といったパターンを照合します。
これらは迷惑メールによく見られる表現・レイアウトかどうかをルール化したものです。
ヘッダ分析
差出人や宛先、メールヘッダの情報に不審な点がないか検査します。例えば、
- 送信元ドメインと実際のメールサーバIPとの対応(逆引きDNS)が正しく設定されているか
- 不自然に多数の宛先が含まれていないか
- 送信日時がおかしくないか(未来日時や過去の日時)
など、メールの配送経路や構成に関するヘッダ情報をチェックするルールがあります。
これらの機能は日々進化しているため、急激に開封率が落ちたときに何かフィルターに引っかかったと判断し、次回のメール配信時に改善を行ってください。
メール受信サーバーによって、SpamAssasinやCloudmark Authority、Vade Secureを使うなどそれぞれ判断基準が異なります。いずれにしても、お客さまに有益な情報を届けることで関係性を構築し、エンゲージメント率を高めていくことが迷惑メールと報告されないために必要な取り組みとなります。
最後に
ドメインウォームアップは一朝一夕で完了するものではありませんが、段階を踏めば確実に送信ドメインの評価を高め、メールの到達率を改善できます。初めて新規ドメインで配信する場合でも、ご案内した手順を実行すれば通常の受信箱にメールを届けられるはずです。
大切なことは、正しい送信設定・送信メールの品質・配信コンテンツ・エンゲージメント率といった要素をバランスよく管理することです。長い間メール配信を休止していたドメインや新しく取得したドメインがあるなら、小規模送信からウォームアップを始めてください。
また、自社でウォームアップを実施するのが難しいと感じられたかたは、当社の問い合わせフォームからお問い合わせください。当社がドメインをお預かりしたうえで、ドメインのウォームアップを実施いたします。