隣の人のせい?!まさか、自分のメールが巻き添えに!メール配信の「共有IP」リスク
「これまでメールクリーニングなど、色々なメール到達に必要な対策をしてきたのに、なぜかメールの到達率が安定しない..。」
その原因は皆さんが使っている「メール送信元の住所」、つまりIPアドレスにあるかもしれません。特に、中小企業の多くが利用している”共有IPアドレス”には、意外な落とし穴が潜んでいることがあるんです。
今回は、皆さんのメールが届かなくなっている隠れた原因となる「共有IPのリスク」について、具体的な事例を交えながら分かりやすく解説していきます。
「送信用共有IP」って何?なぜそれが問題になるのか?
メール配信サービスを利用していると、ほとんどの場合、あなたは他のユーザーと「共有IPアドレス」を使っています。これは、一つの大きな集合住宅に、たくさんの会社や個人が住んでいるようなイメージです。
(1) 集合住宅の「隣人」が問題を起こすと..。
この「集合住宅」の例で考えてみましょう。
もし、同じIPアドレスを使っている「同居人」、つまり他のユーザーが悪質なメール(迷惑メールやフィッシングメールなど)を送ったり、受信者から頻繁に迷惑メール報告を受けたりした場合、どうなるでしょうか?
そのIPアドレス全体の「評価」が下がってしまい、ブラックリストに登録される可能性があります。
そして、悲しいことに、その「同居人」のせいで、あなたのメールまで「迷惑メール」と判断され、お客さまに届かなくなってしまうという「巻き添え」被害が発生するんです。
これが、共有IPアドレスの最大の落とし穴です。
(2) 信頼性の低下と到達率への影響
メールサービスは、IPアドレスの評判を非常に重視しています。悪質なメール送信者が同じIPを使っていると、そのIPアドレスから送られるすべてのメールが「疑わしい」と見なされてしまいます。結果として、あなたのメールが以下のようになる可能性があります。
迷惑メールフォルダへの直行
お客さまの受信箱には表示されず、気づかれないまま迷惑メールフォルダに分類されてしまいます。
受信拒否
最悪の場合、メールサービスに完全にブロックされ、メールが一切届かなくなります。
ブランドイメージの悪化
お客さまにメールが届かない状態が続くと、信頼性やブランドイメージにも悪影響を及ぼしかねません。
実際にあった「共有IP」の落とし穴事例
共有IPアドレスのリスクは、決して架空の話ではありません。実際に多くの日本企業がこの問題に直面しています。
(1)ロリポップ!における事例
国内のレンタルサーバー大手であるロリポップの共有IPアドレスでも、過去に一部のIPアドレスがブラックリストに載り、メールの到達率に影響が出た事例が報告されています。
これは、ロリポップを利用している多くのユーザーが同じ共有IPアドレスを使っているため、特定のユーザーが悪質なメールを送信した際に、そのIP全体の評価が低下し、他の善良なユーザーのメールまで届かなくなるという事態が発生したものです。
(2) SendGridを利用しているMAツールの事例
大手メール配信サービスのSendGrid(センドグリッド)も、多くの企業やサービスで共有IPアドレスで利用しています。
あるマーケティングオートメーション(MA)ツールの使っているマーケティング担当者様が、突然メルマガの開封率が急落し、メールがほとんど届かなくなったことに気づきました。
詳しく調べてみると、MAツールのメールがSendGridで配信されており、共有IPアドレスを使っている別のユーザーが、迷惑メールと判断されるような大量送信を繰り返していたことが判明したのです。
その結果、そのIPアドレスがブラックリストに載り、全く関係のない自社のメルマガまで巻き添えになって届かなくなってしまいました。
これらの事例からもわかるように、共有IPアドレスを利用する際は、自分ではコントロールできない「隣人」のリスクが常に存在することを認識しておく必要があります。
「巻き添え」を防ぐための対策とIP選定の重要性
では、共有IPアドレスの落とし穴に「巻き添え」にならないためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか?
(1) 信頼できるメール配信サービスを選ぶ
最も基本的な対策は、IPアドレスの管理を徹底している信頼性の高いメール配信サービスを選ぶことです。多くの大手サービスでは、IPアドレスの監視を常に行い、問題のあるユーザーを特定・隔離することで、他の善良なユーザーへの影響を最小限に抑える努力をしています。
サービス選定の際には、IPアドレスの管理体制や、問題発生時の対応について確認することが重要です。必要であればサービス提供者に直接問い合わせてみましょう。
メール配信サービスを10年以上提供し続けている会社は、届くメールを実現できていると判断いただいて問題ないと思います。
(2) 必要であれば「専用IPアドレス」の検討を
メールの送信量が非常に多かったり、メール到達率の安定性がビジネスにおいて極めて重要である場合は、専用IPアドレスの利用を検討するのも一つの選択肢です。専用IPアドレスは、その名の通りあなただけが使用できるIPアドレスなので、「隣人」の影響を受ける心配がありません。
ただし、専用IPアドレスは利用コストが高くなる傾向があり、また、利用開始時には自分自身で「ドメインウォームアップ」を行う必要があります。これは、新規ドメインの場合と同様に、段階的に送信量を増やし、良好な送信履歴を積み重ねていく地道な作業です。
(3) 継続的な「監視」と「迅速な対応」
あなたが共有IPアドレスを利用している場合でも、また専用IPアドレスを利用している場合でも、常に以下のKPI(重要業績評価指標)を監視することが重要です。
エラー率(3%以下)
メールが届かなかった割合。高ければIPアドレスに問題がある可能性も。
迷惑メール報告率(0.3%以下)
お客さまが迷惑メールだと報告した割合。
開封率(40%以上)
メールが実際に開かれた割合。
これらの数字に急な変動があった場合は、IPアドレスの評判に何か問題が発生していないか、迅速に調査し対応する必要があります。
最後に
あなたのメールが「隣の人のせい」で届かなくなっている可能性について、ご理解いただけたでしょうか。他のユーザーの行動によって、あなたのメールまで巻き添えになってしまうリスクは、決して無視できません。
メールの到達率を安定させ、ビジネスチャンスを逃さないためにも、IPアドレスの選定と管理は非常に重要です。もし、現在利用している共有IPアドレスの状況に不安を感じたり、専用IPアドレスへの移行を検討している場合は、ぜひ専門家にご相談ください。
私たちプリモポストは、お客さまのメール到達率に関する課題を解決するため、IPアドレスの評価改善や、最適なメール配信環境の構築をサポートしています。お気軽にお問い合わせくださいね。