メール配信が月間10万通を超えたら専用IPで配信しよう!
メールを活用したマーケティングの効果を最大化するための重要な要素のひとつが、送信に使用するIPアドレス。あなたのビジネスが成長し、毎月10万通以上のメールを送信するようになったら、ビジネスの安定化を考え専用IPの使用を検討するべきです。しかし、そもそもIPアドレスとは何か。そして、専用IPと共有IPの違いはどこにあるのでしょうか確認していきたいと思います。
メール送信につかれるIPアドレスとは
メール送信に使用されるIPアドレスとは、インターネット上で送信者のサーバーやデバイスを識別するための数値の組み合わせです。IPアドレスは、インターネット上の「住所」に例えられることが多く、メールがどこから送信されているかを特定するために利用されます。
たとえば、IPアドレス「165.12.345.***」は、特定の送信者を識別するために使われるユニークな番号です。
メールが送信される際、受信サーバーは送信元のIPアドレスを確認し、そのアドレスが信頼できるかどうかを判断します。この信頼性は「IPレピュテーション」と呼ばれ、メールの配信成功率に大きな影響を与えます。
たとえば、信頼性の低いIPアドレスから送信されたメールは、迷惑メールと判断され、受信者の迷惑メールフォルダに送られる可能性があります。
メール送信に使われるIPアドレスには、共有IPと専用IPの2種類があります。
共有IPは、複数のユーザーや事業者が同じIPアドレスを共有して使用するもので、コストが抑えられますが、他のユーザーの送信習慣があなたのIPレピュテーションに影響を与えるリスクがあります。
専用IPは、特定のユーザーや特定事業者専用のIPアドレスであり、送信者が自分の送信習慣を完全に管理できるため、IPレピュテーションを自らの努力で維持できるメリットがあります。
IPアドレスはメール配信の信頼性を支える重要な要素であり、その管理はメールマーケティングの成功に直結します。
専用IPアドレスを活用する5つのメリット
専用IPを使用するメリットは、メールマーケティングの効果を最大限に引き出すために非常に重要です。
1. IPレピュテーションの完全なコントロール
専用IPを使用する最大のメリットは、IPのレピュテーション。つまり評価を自分で完全にコントロールできる点です。共有IPの場合、複数の事業者やユーザーが同じIPアドレスを共有しているため、他の送信者の行動があなたのメールの配信可能性に影響を与えるリスクがあります。
たとえば、共有IPの他のユーザーがスパム行為を行った場合、その影響でIPアドレス全体の評価が低下し、あなたのメールが迷惑メールとして扱われる可能性があります。あなたがどれだけ正しい運用しても、同居人の影響を受けるのです。
このようなリスクに対し、専用IPは第三者の影響を受けず、自社のメール送信慣行に基づいてIPレピュテーションを構築し、維持することができます。
2. 配信可能性の向上
専用IPを使用することで、メールの配信可能性が向上します。受信サーバーは、IPアドレスのレピュテーションを重要な判断基準の一つとして使用しています。専用IPを利用することで、スパム行為を避け、安定した送信ボリュームを維持し、良好なレピュテーションを築くことで、受信サーバーからの信頼を得やすくなります。
これにより、メールが受信者のメインインボックスに届く確率が高まり、開封率やクリック率の向上に繋がります。
3. ホワイトリスト登録の可能性
専用IPを使用している場合、ホワイトリストに登録される可能性が高まります。ホワイトリストとは、信頼できる送信元として受信者のメールサーバーに登録されることを指し、これによりメールの配信がスムーズに行われるようになります。
特にB2Bにおいて、取引先や個人のお客さまに対する重要なサンキューメールなどのトランザクションメールが確実に届くことは非常に重要です。専用IPを使って信頼を築き、ホワイトリストに登録されることで、これを実現することができます。
4. カスタマイズの自由度
専用IPを使用すると、メール送信に関する設定や最適化を自由にカスタマイズできます。たとえば、送信のタイミングや頻度、送信先リストの管理などを自社のニーズに合わせて調整できるため、より戦略的なメールマーケティングを展開することが可能です。
また、独自のフィードバックループやカスタム認証メカニズムを設定することで、メール送信の品質管理を強化し、さらなる配信率の向上を図ることもできます。
5. 長期的なリスクの軽減
専用IPを使用することで、長期的なリスクを軽減することができます。共有IPを使用している場合、他のユーザーの不正行為や不適切なメール送信が原因で、IPアドレス全体がブラックリストに登録されたり、迷惑メールフォルダにメールが送られるリスクがあります。
専用IPを利用することで、このリスクを回避し、自社のメールマーケティング活動を安定して運営することが可能です。
このように、共有IPは運用上の見えないリスクがあることから、専用IPを使用することで、ブランドの信頼性やイメージを向上させることができます。安定した配信と高い開封率を維持することで、受信者に対して信頼できる送信者であるという印象を与えることができます。
特に、大量のメールを定期的に送信する事業者にとって、受信者からの信頼は非常に重要です。専用IPは、この信頼を構築し、維持するための重要なツールとなります。
共有IPアドレスを活用する5つのメリット
共有IPとは、複数の個人や法人ユーザーが同じIPアドレスを共有して使用する仕組みです。メールサービスプロバイダーが管理する共有IPアドレスは、様々なクライアントが利用するため、ひとつのIPアドレスから送信されるメールは多岐にわたります。
当社が見てきた中でも、金融機関とデジタルコミックを販売する事業者が共有のIPアドレスを使用していたり、ECサイトとポイントサイトが共有するケースもありました。共有IPは経済的に安価であり送信量が少ない中小の事業者にとって検討可能な選択肢となります。
1. 配信にかかるコストを削減
共有IPを使用する最大のメリットは、コストを大幅に削減できる点です。専用IPを利用するには追加の費用がかかることが多いですが、共有IPは他のユーザーとコストを分担できるため、メール配信の初期投資を抑えることができます。
特に、メール送信のボリュームが少ない企業や、まだメールマーケティングを始めたばかりの事業者にとっては、共有IPは経済的な選択肢となります。
2. 簡単な管理とセットアップ
共有IPは、メールサービスプロバイダーが全体的な管理を行ってくれるため、運用が非常に簡単です。
専用IPの場合、IPアドレスの信頼性を確立するために少しずつ送信量を増やしていく”ウォームアップ”というプロセスが必要ですが、共有IPではその必要がなく、初期設定の手間が少ないのが特徴です。
メールサービスプロバイダーが既にIPアドレスを管理し、信頼性を維持しているため、特別な技術的知識がなくても、すぐにメール配信を開始することができます。
3. リスクを平準化できる可能性も
共有IPを使用することで、送信のリスクを分散することができます。IPレピュテーションは、メール配信の成功に大きな影響を与えますが、共有IPでは、他の信頼できるユーザーとIPを共有することで、個々の企業の送信習慣によるリスクが分散されます。
例えば、他の信頼性の高いユーザーが同じ共有IPを使用している場合、その影響でIPレピュテーションが向上する可能性があります。
4. 拡張性と柔軟性
共有IPは、拡張と柔軟性に優れています。送信量が急に増加した場合でも、メールサービスプロバイダーがIPアドレスを適切に管理し、複数のIPアドレスを使ってメールを送信することで、配信が滞るリスクを最小限に抑えることができます。
これは、シーズンごとのキャンペーンやプロモーションを実施する企業にとって大きな利点です。
5. トラブルシューティングのサポート
共有IPを使用している場合、メールサービスプロバイダーがIPアドレスの管理を一手に引き受けているため、万が一トラブルが発生した場合でも迅速に対応してもらえるというメリットがあります。
IPアドレスがブラックリストに登録されたり、配信率が低下した場合、メールサービスプロバイダーが状況を監視し、必要に応じて改善策を講じるため、利用者側での負担が軽減されます。
この通り、共有IPは、メールマーケティングを始めたばかりの企業や、配信量が少ない企業にとって理想的な選択肢です。IPレピュテーションの管理や技術的な設定がメールサービスプロバイダーに任せられるため、マーケティング担当者はコンテンツの作成やターゲット設定に集中できます。
また、共有IPを利用することで、メールマーケティングの基礎を学びながら、次のステップとして専用IPへの移行を検討することも可能です。
最後に
メールマーケティングにおいて専用IPと共有IPのどちらを選ぶかは、あなたのビジネスニーズや送信ボリュームに応じた慎重な判断が必要です。
もしあなたのチームが月に10万通以上のメールを安定して送信している場合、専用IPを選ぶことでIP評価をコントロールしやすくなります。ただし、送信ボリュームに変動がある場合は、共有IPの方がリスクを分散し、安定した配信を維持しやすいでしょう。
さらに、専用IPには管理や維持に追加のコストと手間がかかりますが、その代わりに、他のユーザーの影響を受けずに自社のメール配信を完全に管理できるという大きなメリットがあります。あなたがIP評価に全責任を持ち、送信慣行をしっかりと管理できるのであれば、専用IPは最適な選択肢となるでしょう。
一方、共有IPはコストを抑えつつ、ESPによる管理を活用して手軽にメールマーケティングを行いたい場合に適しています。特に、メールマーケティングを始めたばかりの企業や、送信量が少ない企業にとっては、共有IPはリスクが少なく、運用の負担も軽減されるため、効果的な選択肢となります。
ただし、非常に大切なことなのですが、GmailやiCloudなどのドメインにメールが届かなくなるリスクを共有することを忘れないください。契約して最初のメールから届かないリスクもあります。
最終的には、専用IPと共有IPのメリットとデメリットを理解し、自社のメール配信の目標や規模に合わせて最適な選択を行うことが重要です。