1日(で5,000通以上のメールをGmailアカウントに配信されるかたは要注意
Googleが、ユーザーへの不要なメール配信を防ぐため、新たな規制を発表したことをご存知でしょうか。これは、Gmailのドメインに一定数以上のメールを送っている方に影響する変更です。
Googleのポリシー変更、何が変わる?
Googleは「2024年2月から、24時間でGmailに5,000通以上送る人は、メールの送り主を証明し、ユーザーが簡単に配信を解除できるようにする必要がある」と発表しました。
https://support.google.com/mail/answer/81126?hl=ja
この新しいルールは、24時間でGmailに5,000通以上のメールを送るすべての送信者に適用されます。これに伴い、Googleはメールマーケティング担当者が守るべき新しいガイドラインも公開しました。
2024年2月からは、24時間でGmailに5,000通以上のメールを送る送信者は、すべての宣伝メールの本文に、ワンクリックで配信解除できるボタンを含める必要があります。さらに、配信解除のリクエストは2日以内に対応しなければなりません。
加えて、メールを送るドメインの所有者であることを証明する、SPF、DKIM、DMARCといった認証設定が必須となります。
Googleは、メールの送り主が身元を隠すことを防ぎ、迷惑メールがGmailの受信箱に届くのを減らしたいと考えています。特に、不正なスパムメールを送る人には、メールが届きにくくなるでしょう。
Googleは、ユーザーが望まないメールに悩まされないよう、「迷惑メールだと報告される割合を明確に下回る必要がある」とも伝えています。
もしメールが届かなくなったら?
Postmaster Toolsを活用して状況を確認しましょう。
Google Postmaster Toolsは、メールの配信状況を分析するのに役立つツールです。このツールを使えば、なぜメールが届きにくくなっているのか、その原因を特定できます。
Google Postmaster Toolsを使うには、ご自身のドメインを連携させる必要があります。連携が完了すると、ツールがデータの取得を開始し、メールの到達率を改善するための貴重な情報を提供してくれます。
ダッシュボードは以下の7つの項目に分かれています。
- 迷惑メール率:迷惑メールに分類される割合です。0.10%未満を目指し、0.30%以上にならないようにしましょう。
- IPの評価:多くのメールを送り、それが迷惑メールだと報告されると、あなたのIPアドレスの評価が下がります。
- ドメインの評価:ドメインの評価が高いほど、迷惑メールフォルダに入る可能性が低くなります。
- フィードバックループ:Gmailで迷惑メールだと報告されたメールの割合を確認できます。
- 認証:SPF、DKIM、DMARCといった認証に成功したメールの割合が表示されます。
- 暗号化:暗号化されたメールが送受信された割合です。
- 配信エラー:拒否されたり、一時的にエラーになったメールの合計割合を確認できます。
2025年の現状と、今から考えるべきこと(記事更新)
2024年のルール変更から1年以上が経過し、メール配信の状況は大きく変化しました。当時は「大量送信者向け」とされていたGoogleの新しいルールは、もはやメールマーケティングを行う上で必須の常識となっています。
最大の変更点は、このルールが「Googleだけの問題」ではなくなったことです。2025年5月。Microsoft社(Outlook)も同様のポリシーを導入しました。GmailとOutlookユーザーを合わせると、日本国内の大多数のユーザーをカバーすることになります。
このため、これまで通りの方法でメールを送っていた企業は、配信率が著しく低下したり、メールが完全にブロックされたりといった事態に直面しました。
年現在、メール配信の成功は、もはや単なる「送信」ではなく、「メールの信用度を維持する」という考え方にシフトしています。
具体的には、以下の3つのポイントが特に重要になっています。
1.継続的なモニタリングと改善
Postmaster Toolsなどのツールを活用し、迷惑メール率や認証ステータスを定期的にチェックする体制が不可欠です。少しでも不審な兆候があれば、すぐに原因を特定し、対策を講じる必要があります。放置すれば、ドメイン全体の評価が下がり、メールが届かなくなるリスクが高まります。
2.「望まれるメール」の徹底
今回の変更の根本は「ユーザーファースト」です。ユーザーが本当に欲しいと思う情報だけを送り、配信解除の要望には迅速に応えることが求められます。
単にワンクリック解除ボタンを設置するだけでなく、不要なユーザーを配信リストから定期的に削除する「リストクリーニング(メールクリーニング)」も、健全な配信を維持する上で欠かせない作業となりました。
また、サンセットポリシーを策定のうえ、読まない人には送らないという対策も必要です。
3.専門家との連携
SPF・DKIM・DMARCの設定や、複雑な配信状況の分析は専門知識を必要とします。自社だけでの対応が難しい場合は、専門のメール配信サービスや、コンサルタントと連携することが一般的になりました。
今回のルール変更は、迷惑メールを排除し、健全なメールマーケティングの環境を整えるための大きな一歩でした。しかし、この流れは今後も加速していくと予想されます。
メールの配信担当者は、単にルールを守るだけでなく、常にユーザーの視点に立ち、価値ある情報を提供する姿勢を持ち続けることが、2025年以降のメールマーケティングを成功させる鍵となるでしょう。